●性病(性感染症、STD)について

 以前は、淋疾、梅毒、軟性下疳、鼡径リンパ肉芽腫の4疾患だけが性病として取り扱われてきましたが、この他にも性行為で伝播する疾患はたくさんあります。そのため、現在では、そうした疾患である非淋菌性尿道炎、トリコモナス症、カンジダ症、陰部ヘルペス、尖圭コンジローマ、陰部伝染性軟属腫などを総称して性感染症(STD)と呼ぶようになりました。性に対する意識の開放に伴い、性感染症は明らかに増えています。また、それぞれの疾患で治療法は全く異なりますから、的確な診断が必要になります。以下に代表的な疾患について簡単に述べます。

 

●淋菌性尿道炎(淋疾)

 淋菌感染で起こります。性交はもちろん、オーラルセックスだけでも感染することがあります。3~7日の潜伏期間のあと、激しい排尿痛、膿汁(黄色)の排出で発症します。治療は抗生剤の注射、内服ですが、最近は抗生剤の効きにくい強い菌もありますので、適切な抗生剤を使う必要があります。

●非淋菌性尿道炎

 大部分がクラミジアトラコマチス感染で起こります。近年、非常に増加しています。潜伏期間は2週間以上で、数か月たってから症状が出る場合もあります。症状は排尿痛ですが淋病より、軽度です。また、膿汁も白色のことが多いです。症状が軽いため、男女とも知らない間に感染、保菌している場合があり、これが感染を増大させている原因の一つです。治療は抗生剤の内服です。

●尖圭コンジローマ

 ヒト乳頭腫ウイルスの感染によって、陰部(性器や肛門周囲)に乳頭状、カリフラワー状のできものの出来る病気です。痛み、痒みはほとんどありません。時間の経過をともに大きくなり、数も増えます。治療としては特別な外用薬の塗布、液体窒素あるいは電気による凝固を行います。

●陰部ヘルペス

 単純ヘルペスウイルスの感染で起こります。陰部に小水泡や小潰瘍が生じ、激痛を伴います。治療は抗ウイルス薬の内服、塗布です。一度治っても、再発するケースが多いのも特徴です。

 性感染症は自分のみならず、パートナーも不幸にする病気です。受診しにくい、話しにくい病気だというのは分かりますが、感染したかなと思ったら、なるべく早く受診することをお勧めします。専門医である当院は適切な診断、治療を迅速に行います。ぜひ、受診してください。