●膀胱炎について

 泌尿器科の病気の中で、女性で一番多いのは間違いなく膀胱炎だと思います。その3大症状は、頻尿、残尿感、排尿痛です。トイレに行って排尿してもすっきりしない、排尿後に下腹部・陰部が痛む、何度もトイレに行きたくなるといった症状が突然、発症します。原因は、細菌やウイルスが膀胱に入って、炎症を起こし、膀胱粘膜がただれることによります。ただれた部分が蓄尿、排尿によって動くため、排尿痛、残尿感といった症状が起こります。また、粘膜がただれるわけですから、そこから出血して血尿になることもあります(血尿になると驚かれて受診する方が多いようです)。発熱は、膀胱炎では通常はおこらず、高熱がある場合は、別の疾患の合併を考えます。

●膀胱炎の検査、治療

 まずは尿検査を行いますので、普通にトイレで排尿していただきます。当院では試験紙を尿につけて行う尿定性検査に加え、尿沈渣検査というものを行います。これは、尿を遠心分離し、上澄みは捨て、沈殿した部分を顕微鏡で見る泌尿器科独特の検査になります。膀胱炎の時には白血球、細菌などを認めますから、これらを直接、顕微鏡で見て確認、診断を行います。尿沈渣検査で明らかに膀胱炎の所見が認められれば、それ以上の検査は行いません。診察も痛みがないかを確認するためにお腹、背中(腎臓部分)を触診するくらいです。泌尿器科の検査、診察というと何をさせるか不安かと思いますが、膀胱炎の場合は、尿検査のみで、ほとんどの方が診断可能です。また、膀胱炎に限らず、痛みや苦しさを伴う検査を最初から行うことはありませんので、安心して受診ください(最初から内診や導尿なんて、絶対にありません)。

 治療は、抗生剤の内服になります。ただし、近年、抗生剤に対する耐性菌が多くなってきていますから、適切な抗生剤を選ぶ必要があります。また、抗生剤を1-2回内服すると症状が取れることもあります。そこで内服を中止すると症状が再燃する(くせになる)ことがありますから、指定の期間は内服を続ける必要があります(逆に長期間にわたって漫然と使用すれば、耐性菌を作ることになります)。内服の期間についても適切な匙加減が必要になります。薬以外の注意として、水分摂取を心がけること、尿を我慢しないようにすることも必要です。

 頻尿、残尿感、排尿痛といった膀胱炎の症状が出ましたら、心配せず、お気軽に専門医である当院に受診ください。