スギ花粉症に対する舌下免疫療法の薬、シダトレンが10月8日から処方可能になりました。その処方のためには、学会主催の講習会に出席し、その上で、製薬会社の学習教材で学習し、テストに合格することが必要になります。なかなか大変でしたが、アレルギーは現代社会において非常に重要な疾患と考え、資格を取得しました。というわけで当院は処方可能施設です。
免疫療法は、鼻水に対して鼻水を止める薬を内服する、目のかゆみに対して目薬を使用するといった今まで行ってきた対症療法とは異なり、花粉症そのものの治癒を目指す治療です。治療の効果があれば花粉症の諸症状から解放され、薬から離脱できる可能性があります。
ただし、治療がスギ花粉の飛んでいない時期も含めて2-3年間くらいの長期間にわたって必要なこと、全ての人で治療効果があるわけでないこと、治療による副作用でショックを起こす可能性がゼロではないこと、治療効果があってスギ花粉症の症状から離脱できても7-8年後くらいには再発する人もいることなどの欠点もあります。しっかりした診断が必要ですし、免疫療法を行うかどうかは適応をしっかり見極める必要があると思います。
上記のような欠点を考えると、適応となるのは、スギ花粉の時期に内服薬や点鼻薬などを使用しても、症状が強く、生活が質(QOL)が著しく障害される方になると思います。対症療法で症状を抑えることができ、生活の質を保てる方は、無理に免疫療法を行うことはないのではないでしょうか。
治療の開始は花粉の飛散時期を避ける必要がありますので、遅くても12月初めまでには開始する必要があります。受診は2週間に1回必要で、費用は薬代のみ(3割自己負担分)で、年間で30000円くらいです。