勤務医時代に最も力をいれて治療してきた疾患の1つが前立腺がんです。
早期発見・早期治療を行えば、治癒する患者さんが多い一方(手術をして5年経過して、「治りましたよ」と患者さんにいう瞬間は医者冥利につきました)、治療の甲斐なく亡くなる患者さんも少なくはありませんでした。また、進行して骨に転移したり、局所でがんが広がったりすると、痛みや排尿障害の症状が起こり、著しく生活の質(QOL:quality of life)が障害される疾患でもあります。治療に際しては、こうした障害を起こさないように治療戦略を立てること、また、起こしてしまったら、その症状を迅速に緩和することが求められます。
治療法としては手術療法、放射線療法、ホルモン療法が3本柱です。最近では抗がん剤の使用も出来るようになり、疼痛緩和目的の外照射療法、ストロンチウム治療もあります。こうした治療法を、どのタイミングでどれを行うかについては、ガイドラインに沿った基本的な治療手順だけではなく、医者の裁量による部分もあります。難しいと同時にやりがいがあるのが前立腺がんの治療です。私は、がんの悪さ(悪性度)、広がり(病期)、患者さんの年齢、全身状態はもちろんのこと、社会背景(職業など)や、既に治療している患者さんなら、今までの治療経過、病状進行の度合いなども考慮し、個人ごとに適切な治療を検討していく必要があると考えます。そのため、前立腺がんの患者さんの治療経過の検討をまとめ、論文にしました。手術症例、外照射療法症例についての論文を提示いたしますので参照ください(論文「手術療法:PDF5MB」「外照射療法:PDF6MB」)。勤務医時代は、ガイドラインに加え、こうした自分なりの結果も踏まえて治療を行ってきました。開業医になった現在も、その姿勢は崩さず、検査・治療に当たっております。
どうぞ、前立腺がんが心配という方、既に治療は開始しているが心配という方、ぜひ、ご相談ください。