●尿失禁について

尿失禁で悩まれている方は、実はかなりたくさんおられると思います。特に女性の場合、出産後はかなりの確率で尿失禁になりますし、その後、改善しても年齢が高くなるにしたがって、症状が再燃する方が多いようです。尿失禁用のパットの宣伝が当たり前のようにテレビコマーシャルで流されていることからも症状のある方の多さが分かります。ただし、大部分の方は医療機関には受診されないようです。やはり、男女を問わず、恥ずかしい、相談しにくいというのがあるようです。

●尿失禁のタイプ

一口に尿失禁といっても、いろいろなタイプがあります。以下に、そのタイプを記載します。

① 切迫性尿失禁:尿意を感じてからトイレに行くまでに、間に合わずに漏れてしまうタイプです。

② 腹圧性尿失禁:咳をしたり、重いものを持ったりして、お腹に力が入った時に漏れてしまうタイプです。

③ 溢流性尿失禁:膀胱にたくさんの残尿があり、それが押し出される形で漏れてくるタイプです。

④ 真性尿失禁:本人の自覚なしに(知らない間に)漏れてくるタイプです。

もちろん、これらが混在していることもありますし、本人の自覚症状と診断が異なる場合もあります。

●尿失禁の検査、治療

実は、尿失禁は、それぞれのタイプ(上記)で治療法は全く異なります。例えば、切迫性尿失禁の時などに使う抗コリン剤という種類の薬(現在、おしっこが漏れると言うと、一番、処方される薬です)を、溢流性尿失禁に使うと、逆に症状は悪化します。ですから、尿失禁の治療には、まずは正確な診断が不可欠です。そのためには、尿流量測定、残尿測定などは不可欠です。泌尿器科の検査というと痛いことをされるのではないかと思う方もいると思いますが、尿流量測定は、当院ではトイレで普通に排尿してもらうだけで計測可能ですし、残尿測定は当院では超音波検査で行いますから、お腹の上から器械を当てるだけです。治療としては、抗コリン剤、ベーター刺激薬、アルファ遮断剤などの各種内服薬を的確に使い分けることを第一に行います。ほとんどの方は内服での治療で症状は改善すると思います。また、干渉低周波治療をいう電気をかけるような治療法もあります。

当院では干渉低周波治療器も完備し、すべての検査、治療に対応しております。どうぞ、一人で悩まないで、お気軽に受診ください。